<奨学生OBから>

東京天草育英会と私
             
須崎 剛さん(五和町御領出身、天草高校16回卒)

シベリアに抑留されて消息不明の父の戦死公報と中身のない白木の箱が届いたのが、昭和34年、御領中学2年生のときであった。
ささやかな畑を耕しながら家計を営まなねばならない母に、進学の学資を求めることはならず、高校、大学では日本育英会から特別奨学金の貸与を受けることにした。
 前回の東京五輪の翌年に都内の大学に入学、学生寮に身を落ち着け、日本育英会の奨学金で学費・生活費の半分を賄い、残り半分をアルバイトで、と覚悟を決めていたときに、母から思いがけない現金書留が届いた。開けると東京天草育英会から奨学金支給されることが決まり、毎月送金するので、勉学に励むようにとあった。半世紀前の驚きが今も鮮明に残る。
今年6月始め、同じ奨学金を受けて群馬県立女子大の美学美術史学科に学ぶ、御領出身の学生の大学院合格の朗報を仄聞した。半世紀の星霜を経ても脈々と流れる東京天草育英会の理念に感動を覚える。そして、その活動を支えていただいている多数の同郷の方々に深甚の敬意と感謝の意を表したい。


                                                                          (2016年9月記)

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東京天草育英会と私
             
中村 蓮さん(牛深町出身、天草高校63回卒)

関東あまたか会の皆様、こんにちは。私は中村と言いまして、以前、東京天草育英会(以下、育英会と略します)の奨学金を受けていたものです。
今回は、育英会と私という題でお話しさせていただきます。私か育英会を知ったのは天草高校を卒業する少し前のことでした。関東の大学へ進学を希望していた私や他の同級生に進路指導の先生から天草出身者への奨学金制度があると聞いたのがきっかけです。
無事、関東の大学に進学し、それから4年間、卒業まで奨学金をいただきました。私は筑波大学で文化人類学を学んでいたのですが、その調査に育英会の奨学金を活用していました。石巻、石垣島が調査地でしたので、そこまでの交通費や宿泊費など何かと入り用でして、そんな時に奨学金をいただけたのがとてもありがたかったです。
育英会でありがたかったのは、奨学金だけではありません。関東あまたか会や各地域会などにも参加させていただいて、様々な分野で活躍しておられる天草の方とお話ができたこともありがたいものでした。卒業研究では、この会で知り合った方のお蔭で調査がスムーズに進みました。
そんな楽しい大学生活から3年、現在、私は故郷天草で市の職員として、仕事と趣味に励んでいます。写真は趣味の登山中のものです。


                           (2018年3月関東あまたか会会報誌の寄稿文より転載)

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